2018年2月28日 高原浩子:文・写真(WAVE UNIZON副編集長、ヒロコロbox主宰)
台風直撃をかわし、たどり着いた台湾。
今年の夏旅は台湾を一巡り。
旅の途中「天人合一」という名の絵を見た。
おじいさんが小さな椀と箸で魯肉飯のような飯を食べている絵。
おじいさんは画幅の右下にいて、少しうつむいている。
飯を食べている!
何十年も使った身体に、新しい飯を。
こんなしずかな祝祭。
たとえば
花が置かれていたとして やがて
花が持ち去られたとして
香りの残る僅かの間。
そこにいるのは花ではないのに
花があったことを知っているよりも確かに
満ちているつかの間の、本当。
有限のことがらと、たゆたうように合間に現れてくる無限の相。
波光にも似ているが、瞬きよりは長い。
稲代の広がる向こうに、お寺が突然現れて、赤い提灯が清潔に揺れていた。
私はどんどん南下する。
Ⓒ WAVE UNIZON, Hiroko Takahara 2018