2018年4月17日
WAVE UNIZON/西美都(写真)
(三枝)
こんにちは。WAVE UNIZON編集長の三枝です。
(高原)
こんにちは。副編集長の高原です。
さてWAVE UNIZONを始めてから4ヶ月程度になりますが、今日は「Constellation」についておしゃべりしてみたいと思います。よろしくお願いします。
(三枝)
よろしくお願いします。WAVE UNIZONのコンテンツのメニューで「Constellation ―随想座―」というのがあるのですが、これはどういう意味なのかな、というのもあると思いますので、この場を使ってお伝えしていきたいと思います。
(高原)
「Constellation」というのは実在の英語ですよね?
(三枝)
はい。
(高原)
どういう単語なのでしょうか。
(三枝)
これは、「星座」という意味ですね。夜空の星座のことです。なので、「随想」の後に「座」がついていると。
(高原)
「随想座」というのは、WAVE UNIZONの造語で、メニューのタイトルを名付ける時に色々考えたんですが、さまざまな思いを「結ぶ」とか、人々が集う「座」という意味を込めて付けることになったんでしたね。
(三枝)
編集っていう仕事をしていて、僕の中で「Constellation」っていうのが前々からずっとチラチラと頭に浮かんでいたんですが、まあ、星座っていうものも、夜空に点々と散らばっている星を、空想の線で結んで、そこに神話の神様や英雄、動物などの姿を思い描いたものですね。そう考えると、星座を作ることも、なんか編集に似ているなあと、思っていたわけです。
(高原)
なるほど。確かに散らばるものを結びつける、それで新しくものを観る、観えるようにする、というのは、編集の役割の一つと言えそうですね。それは、空の雲を何かに見立てることとも似ているかもしれない。そこに「形」とか「物語」とか、結びつける何かを見出すという。
(三枝)
「この雲は龍の形をしているから吉兆だ」というような意味づけをすることもありますね。
(高原)
それって誰しもが日常の中でやっていること、とも言えるかも。
(三枝)
そう。それで、このWAVE UNIZONをやるにあたって、より具体的にこの「Constellation」っていうのを考えている時に、実はこれが「ユング心理学」でも使われている用語だということも知りました。「ユング心理学」では、「Constellation」は、日本語にすると「配置」とも訳されますが、これは「一見、無関係、無秩序に配置されているように見えるものが、いつしか全体的に意味を持つものであると気づくこと」をいうのだそうです。
(高原)
考え方として「つながる」ということが、星座の成り立ちと共通しているとも言えますね。
(三枝)
おそらくそういうことなんじゃないかなと思います。WAVE UNIZONも、「随想座」をはじめ、いろんなテーマで常に新しいものがコンテンツとして出てくる、更新されていく、まあそれらが、一見バラバラに見えたとしても、そのつど全体として何か見えてきたり、形や筋書き、スタイル、イメージなどが立ち上がってくるといいなと思って、この言葉を使おうということなんです。
(高原)
そうですね。星座でいう「星」を打つところからやる、それが一つ一つのコンテンツなわけですが、この時、先に物語を想定しない、ということなんですよね。完成形を見据えて星を打たない。夜空の中に現れた星が、いずれどのような「Constellation」になるのかは未定のままコンテンツを作っていくという試みを編集方法としてやってみようということですね。
(三枝)
その通り。僕はこれまで編集者としてやってきて、本だけじゃなくてイベントを編集したり、展覧会を編集したり、カフェを編集したり、「編集」を本に限らず広い意味で捉える活動をしてきたつもりです。ただ、それらはいずれにしても、どちらかと言えば、完成形のイメージがあって、それに向けてまとめ上げていく、そして最終的にどううまくまとめあげるか、という仕事のやり方でした。
(高原)
材料を揃え、料理をしてお弁当を詰める、というような?
(三枝)
そうそう、そんなイメージです。それが今回初めてWEBプレスというものに臨むにあたって、そのメディアの特性を考えてみた時に、「まとめる編集」以外のやり方が、ここではできるという気がして。そしてその方が、WEBというメディアに向いているのではないかと思ったわけです。その時、「Constellation」という言葉が、新しい編集方法のイメージと結びついたのです。
(高原)
チラチラと現れていた言葉が、ピタッとはまった感じでしょうか。
(三枝)
まさに「ユング心理学」でいうところの「Constellation」が起きた。これまでのものが「まとめる編集」であったとするなら、新しい編集方法は「広げる編集」と呼べるかもしれません。
(高原)
「広げる」というのは、コンテンツをどのように扱うイメージですか。例えば「まとめる編集」においてそれは、素材、全体の一部、と言えるものだと思うのですが、「広げる」というのは、コンテンツとコンテンツの結びつきが作り出す物語を、ある意味放置する、野放しにする、なすがままにしておく、その形成を待つというような、いわば結晶ができるのを眺めたり、万華鏡を覗いたりするような、そんなイメージなのですが。
(三枝)
そうですね、その時は、無意味、無関係に見えていて、後から「そうか、そういうことだったのか」と知らされるようなことは人生にだって多いですよね。
(高原)
サプライズのような。でも仕組まれていないサプライズ。
(三枝)
予定調和じゃない視点とか思考が得られるといいなと。
(高原)
それぞれのコンテンツは具体的な事柄なり世界を作っているわけですけれども、つながった時に、そこに具体性を超えるもの、普遍性を持った通底音を聴きたいと、そんなふうに思います。
(三枝)
浮かび上がってくるものも、コンテンツの並べ方や時代感といった外的要素によって意味が変遷していくものですし、それを柔軟に掬って、足したり引いたり、組み合わせを変えたり、そういったことができるのがWEBプレスの面白みだと気付いたんです。
(高原)
展開できる即時性、即興性もありますしね。
(三枝)
今は、ひとまず「星を夜空に打つ」段階にあって、やがてその数が増えてきた時に結ばれる線が見えてくる、次いで物語なり意味なりが具体的に浮かび上がってくる。
(高原)
そうするとここに現れてくるコンテンツは、個々の「星々」が打ち上げられているわけですが、それぞれの「星」=コンテンツを、読み手が自由に結んで、そこに物語や意味を見つけてもらうのも楽しさの一つかなと思いますし、編集のあり方としてはその双方向性というのも、新しいことになる予感がします。
(三枝)
WAVE UNIZONを編集していくのはむしろ、読者の皆さんなのかもしれません。
(高原)
終わらない「サプライズ・パーティー」へ、ようこそ!
ⒸWAVE UNIZON, Hiroko Takahara, Katsuyuki Mieda, Miyako Nishi 2018